労働基準法改正で副業環境が激変か、2027年施行見込みで企業と個人双方に準備が必要に
労働時間通算ルール見直しで副業のハードルが下がる一方、健康管理の責任は明確化へ

概要
2026年4月時点で労働政策審議会にて審議が進められている労働基準法の大改正により、副業に関する労働時間通算ルールが大きく変更される見通しです。健康確保のための労働時間通算は維持しつつ、割増賃金の支払いについては通算を不要とする方向で検討されており、2026年中の法案提出、2027年前後の施行が見込まれています。企業にとっては副業を認めやすくなる一方、従業員の健康管理責任はより明確になります。
本文
副業をめぐる法改正の最新動向
2026年7月18日現在、日本の働き方を大きく変える可能性のある労働基準法改正の議論が最終段階を迎えています。中でも注目されているのが、副業・兼業を行う場合の労働時間管理ルールの見直しです。
現在の労働基準法第38条では、事業場が異なっていても労働時間に関する規定は通算すると定められています。つまり本業と副業の時間を合算して管理する必要があり、これが企業にとって大きな負担となり、副業解禁の妨げになっているとの指摘が続いていました。
厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」が2025年1月に公表した報告書では、約40年ぶりとなる労働基準法の抜本的見直しの方向性が示されました。当初は2026年の通常国会への改正法案提出、2027年4月からの施行が見込まれていましたが、2025年12月に改正法案の通常国会への提出が見送られたことが報じられました。しかし、2026年中の法案提出、2027年前後の施行というスケジュールは依然として見込まれています。
改正の核心と企業・個人への影響
労働時間通算ルールの見直し内容
検討されている改正の方向性は以下の通りです。
- 副業で働いた時間は、企業同士で合算しなくてよい - それぞれの会社が自社で働いた時間だけで労働時間を判断する - 健康確保のための労働時間通算は維持する - 割増賃金の支払いについては通算を不要とする
これにより期待されるメリットは次の点です。
- 「どちらの会社が割増賃金を払うべきか?」という混乱がなくなる - 副業を申告しやすくなる - 企業側の管理負担も大幅に軽くなる
一方で労働組合側は「働き過ぎの把握が難しくなる」と懸念を示しており、健康管理のための労働時間把握方法や、長時間労働を防止するための仕組みづくりが重要な課題として残っています。
企業が準備すべき実務対応
改正が実現した場合、企業には以下の対応が求められます。
1. 就業規則の見直し: 副業・兼業を許可する際の手続き、健康管理のための労働時間把握方法の明確化 2. 報告制度の整備: 副業先の企業名、業務内容、労働時間を定期的に報告させる仕組み 3. 上限時間の設定: 長時間労働を防止するための総労働時間の上限設定 4. 健康管理体制: 副業を含めた総労働時間をモニタリングし、過重労働のサインを早期発見する体制構築
副業推進の背景と政府の方針
政府が副業・兼業を推進する理由は大きく5つあります。
1. 希望する働き方の実現 人生100年時代において、本業を離職しなくても別の仕事で新たなスキルや経験を得ることで、自分に合った働き方を見つけるキャリア形成が可能になります。
2. イノベーションの創出 副業で得た知識・スキル・経験・情報を活用することで、新しいアイデアや技術開発、新規事業創出の可能性が高まります。
3. 所得増加による経済活性化 副業により所得が増えれば、ゆとりのある生活や趣味への投資が可能になり、日本経済にも好影響を与えます。
4. スキルアップと人材育成 本業では得られない経験を通じて人材がスキルアップし、結果として企業にも良い影響をもたらします。
5. 労働力不足への対応 複数企業での柔軟な働き方により、人材の有効活用と労働力不足の解消が期待されます。
副業をはじめる際の実務ポイント
法改正を待つ間も、現時点で副業をはじめる際に注意すべきポイントがあります。
就業規則の確認 勤めている会社の就業規則で副業が許可されているか、許可制の場合はどのような手続きが必要かを確認しましょう。2018年1月に厚生労働省の「モデル就業規則」から副業禁止規定が削除されましたが、企業ごとの就業規則は異なります。
確定申告の準備 サラリーマンの方で、副業で得た所得が1年間で20万円を超える場合は確定申告が必要です。所得とは「売上-経費」です。例えば100万円の売上があっても85万円の経費がかかっていれば、所得は15万円となり確定申告は不要です。
副業所得が「雑所得」に該当する場合は白色申告のみですが、「事業所得」「不動産所得」に該当する場合は青色申告が可能で、さまざまな節税メリットを受けられます。
健康管理の自己責任 法改正後も、副業を含めた総労働時間が過重にならないよう自己管理することが重要です。特に在宅勤務が増えた現在、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、知らず知らずのうちに長時間労働になるリスクがあります。
副業時代を生き抜くために
2026年4月現在、労働時間通算ルールの見直しはまだ議論段階ですが、法整備の内容によっては副業を認めやすい環境が整い、会社員でも起業準備を進めやすくなる可能性があります。
副業を活用して小さく起業にチャレンジすることは、会社に依存しない働き方を実現するためにも重要な意味があります。制度の変化を待つだけでなく、今できる範囲で小さくはじめることが、将来の選択肢を広げる第一歩です。
企業側も、副業人材の受け入れや自社従業員の副業許可について、法改正の動向を注視しながら準備を進める時期に来ています。副業という働き方の選択肢が広がることで、個人のキャリア自律と企業の人材活用の両方が進化していく――2027年はそんな転換点になるかもしれません。
(情報源: 厚生労働省、企業法務弁護士ナビ、各種労務関連メディアより)
出品者: Regnboga.net 公式